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SAP BusinessObjects Business Intelligence 4.1 Adaptive Processing Server構成のベストプラクティス

対象製品

SAP BusinessObjects Business Intelligence 4.1

文書の概要

この文書ではSAP BusinessObjects Business Intelligence Platformに含まれるAdaptive Processing Serverについて、パフォーマンス最適化に役立つ構成、チューニング、トラブルシューティングなどのベストプラクティスを説明します。また、関連する他のホワイトペーパーやKBAについても紹介します。

対象読者

SAP BusinessObjects BI システム管理者

著者

Jan De Vilder

認定エンジニアBI/MoBI コンサルタント

SAP ベルギー ルクセンブルグ

SAP ルヴァロワ - フランス

   jan.de.vilder@sap.com

最終更新日

20121126



1 この文書について

この文書はSCN掲載のホワイトペーパー『Best Practices for SAPBO BI 4.0 Adaptive Processing Serversを日本語化し、一部の内容について補足を行ったものです。

Adaptive Processing Server (以下、APS)は、SAP BusinessObjects Business Intelligence プラットフォームを構成する汎用サーバーコンポーネントの1つで、さまざまなソースからの要求に対する処理サービス(APSサービス)をホストします。

デフォルト設定によるSAP BusinessObjects Business Intelligence 4.0のインストールでは、ホストシステムについて1つのAPSを構成します。このデフォルトのAPSは単一インスタンスで22のサービスをホストするよう構成されている一方、そのJava最大ヒープサイズは1GBに設定されており、本番システムでの利用においては必ずしも最適の構成とは言えません。

この文書では、各APSサービスに特化したAPSインスタンスの分割に焦点を絞り、BIシステム管理者がSAP BusinessObjects Business Intelligence 4.0においてAPSの最適化を行うのに役立つ技術情報を紹介します。

なお、この文書で紹介する技術情報はSAP BusinessObjects Business Intelligence 4.0 SP2 Patch 12を前提としています。APS サービスは新しいサポートパックや修正のリリースにより更新されるため、より新しいバージョンを使用している環境では本文書の記載内容と差異が生じる可能性があります。


2 SAP BusinessObjects Business Intelligenceプラットフォーム

2.1 アーキテクチャ概要

SAP BusinessObjects Business Intelligenceプラットフォームは複数のコンポーネントから構成されています。各コンポーネントはそれぞれの役割によって以下の6つの概念的な層に分類することができます。

  • クライアント層
  • Web
  • 管理層
  • ストレージ層
  • 処理層
  • データ層

APSは処理層の一部であり、BIツールからの様々な要求を処理する重要なコンポーネントです。


2.2 「サーバー」と「サービス」

BI プラットフォームでは、サーバーおよびサービスという用語を使用して、BI プラットフォームコンピュータで実行される 2 種類のソフトウェアを表します。

「サーバー」とは1つ以上のサービスをホストするオペレーティングシステムレベルのプロセスを表します(UNIX系のシステムでは、デーモンと呼ばれます)。たとえば、Central Management Server (CMS) Adaptive Processing Server はサーバーであり、これらはいずれも特定のオペレーティングシステムアカウントで実行され、個別のプロセス ID (PID) を持ちます。

一方の「サービス」とは、サーバーにおいて特定の機能を実行するサブシステムであり、親コンテナであるサーバーのプロセス ID を使用し、そのサーバーのメモリスペース内で実行されます。たとえば、Web Intelligence スケジュールサービスはAdaptive Job Server 内で実行されるサブシステムです。

2.3 Adaptive Processing Serverサービス

APSにはクライアントからの様々な要求を処理するために必要な複数のサービスが含まれます。以下の表はAPSに含まれるサービスを一覧化したものです。APSのデプロイメントを計画するために、BI アプリケーションの実行に必要なサービスを確認しておきましょう。


サービスサービスカテゴリーサービスの説明アプリケーション
Adaptive Connectivityサービス接続サービスJavaベースのミドルェアを介したデータ接続をサポートします

Web Intelligence

Dashboards

Crystal Reports

Explorer
BEx WebアプリケーションサービスAnalysisサービスSAP BWBEx WebアプリケーションとBIラウンチパッドの統合機能を提供しますBEx Webアプリケーション
Client Auditing Proxyサービスコアサービスクライアントから送信された監査イベントを収集し、CMSへ転送しますWeb Intelligenceリッチクライアント
カスタムデータアクセスサービスWeb IntelligenceサービスConnection Serverを必要としないデータソースへの動的な接続を提供し、CSVファイルなどの個人データプロバイダーを使用して作成されたレポートへのアクセスおよび更新を可能にします

Web Intelligence

Dashboards
データフェデレーションサービスデータフェデレーションサービスマルチソースユニバースを構成するデータソースへのクエリーを処理します

Web Intelligence

Dashboards

Crystal Reports for Enterprise

Explorer
ドキュメントリカバリサービスWeb IntelligenceサービスWeb Intelligenceドキュメントの自動保存およびリカバリ機能を提供しますWeb Intelligence
DSLブリッジサービスWeb IntelligenceサービスUNXユニバースを介したリレーショナルデータの参照およびBICSを介したSAP BWへの接続を最適化します

Web Intelligence

Explorer
ExcelデータアクセスサービスWeb IntelligenceサービスBIプラットフォームにアップロードされたExcelファイルをデータソースとして使用するために必要ですWeb Intelligence
Web IntelligenceモニタリングサービスWeb IntelligenceサービスWeb IntelligenceサーバーをモニタリングしますWeb Intelligence
Insight to Action サービスコアサービス呼び出されたアクションを有効化し、レポート間インターフェース(RRI)のサポートを提供します

Crystal Reports

Dashboards
プロモーションマネジメントClearCaseサービスプロモーションマネジメントサービスプロモーションマネージメントにおけるオブジェクトのバージョン管理のためにClearCaseサポートを提供します(BI 4.0での名称は「ライフサイクルマネジメントClearCaseサービス」です)プロモーションマネージメント
プロモーションマネジメントサービスプロモーションマネジメントサービスプロモーションマネージメントのコアサービスです(BI 4.0での名称は「ライフサイクルマネジメントサービス」です)プロモーションマネージメント
モニタリングサービスコアサービス監視機能を提供しますすべて
Multi Dimensional Analysis ServiceAnalysisサービスOLAPデータへのアクセスを行い、Analysis for OLAPのチャートおよびクロス表、ExcelPDFに変換可能なXMLを生データから生成します

Analysis for OLAP

OLAP接続の作成
プラットフォーム検索サービスコアサービスBIプラットフォームのコンテンツ検索機能を提供しますプラットフォーム検索
パブリッシングポスト処理サービスコアサービスレポート生成完了後に、特定の出力先にレポートを送信するなどのアクションを実行しますWeb IntelligenceまたはCrystal Reportsのパブリケーション
公開サービスコアサービスパブリッシングポスト処理サービスおよび送信先への配信スケジュールサービスと連携し、レポートを指定した出力先(ファイルシステム、FTP サーバー、電子メール、ユーザーの受信ボックスなど)に公開しますWeb IntelligenceまたはCrystal Reportsのパブリケーション
RebeanサービスWeb IntelligenceサービスWeb IntelligenceおよびExplorerで使用されるSDKをサポートします

Web Intelligence

Explorer
セキュリティトークンサービスコアサービスSAP BWに接続するためのシングルサインオン機能を提供しますすべて
翻訳サービスコアサービストランスレーションマネージャクライアントからの入力を使用して InfoObjects を翻訳しますすべて
Visual Differenceサービスプロモーションマネジメントサービスドキュメントの昇格およびプロモーションマネジメントの結果、複数のドキュメントが視覚的に同一であるかどうかを判別しますプロモーションマネージメント
ビジュアライゼーションサービスWeb IntelligenceサービスWeb Intelligenceレポートのチャート表示のためのCommon Visualization Objects ModelCVOM)サービスですWeb Intelligence

3 Adaptive Processing Serverデプロイメントのベストプラクティス

3.1 Adaptive Processing Serverの構成に関するSAP Knowledge Base Article

APSサービスを複数の専用APSに分散させ、Java仮想マシンのヒープサイズを調整することにより、システム構成の最適化を行う方法が、SAP Knowledge Base Article 1694041- BI 4.x コンサルティング:- Adaptive Processing Server (APS) のサイズを調整する方法』として公開されています。

このKBAで紹介されているシステム構成例の利点として、パフォーマンス向上の他に、運用の効率化が期待できます。機能別にAPSを分離することにより、ダウンタイムを発生させることなく特定の機能を無効化することができ、不要なAPSサービスの停止やトラブルシューティングを行う上で非常に便利だからです。

しかしながら、複数のAPSインスタンスを作成することによってJava仮想マシンの数が増え、BIプラットフォーム全体に必要なメモリー量が大幅に増加するという点に注意しなければなりません。たとえば、KBA記載の構成例の場合、Java仮想マシンのヒープサイズは最小でも26GB、最大では80GBとなります。

したがって、BIプラットフォーム上で使用を予定しているアプリケーションや機能に関連して、どのAPSサービスが必要なのかを洗い出し、不要なAPSサービスがある場合はそれらを停止する設定を検討します。たとえば、SAP BWデータソースを参照しない環境では、BICS接続やAnalysis for OLAPの使用に関連する不要なAPSサービスを単一のAPS上に構成し、そのAPSを停止します。

APSサービスの有効化または無効化にあたり、各サービスの役割や相互作用を理解する必要があります。各APSサービスの詳細については2.3 Adaptive Processing Serverサービス」を参照してください。

また、各APSJava仮想マシンのヒープ割り当てに関しては、SCN掲載のホワイトペーパー『SAP BusinessObjects BI4 Sizing Guideを参照し、適切なサイジングを行うようにしてください。

3.2  Adaptive Processing Serverの追加方法

APSサービスを複数のAPSに分散させるための準備として、APSのインスタンス追加を行う必要があります。

APSインスタンスを追加する方法として、新規にサーバーを作成する方法と、既存サーバーのコピーを作成して修正を加える方法の2つが挙げられますが、いずれの方法を採用するかに関して特別な推奨事項はありません。

3.2.1   APSを新規に作成する方法

この方法ではAPSインスタンスの新規作成時に、そのAPSがホストするAPSサービスの登録を行います。

APSインスタンスを作成し、起動するまでの手順は以下のとおりです。

  1. 管理者権限を持つアカウントでセントラル管理コンソールにログインします。
  2. セントラル管理コンソールのメニューから[サーバ]を選択します。

3.[管理]→[新規]→[新しいサーバ]メニューを選択します。

4. 「サービスカテゴリ」および「サービスの選択」リストから必要なサービスを選び、「次のページ」ボタンをクリックします。

      この例ではデータ接続に関するサービスをホストするAPSを作成しており、サービスカテゴリ「接続サービス」を選択してサービスを追加しています。


5. 他に必要なサービスがあれば、「利用可能な追加のサービス:」の一覧からサービスを選択して「>」ボタンをクリックし、サービスを追加します。

      この例では「DSLブリッジサービス」を追加しています。サービスの選択が終了したら、「次へ」ボタンをクリックします。

6. 新しいAPSの追加先ノードとサーバー名を指定し、「作成」ボタンをクリックします。

      BIプラットフォームのクラスタリングを行っている場合は、新しいAPSをどのノードに追加するかを「ノード:」一覧から選択します。また、新しいAPSについて一意の名前を「サーバ名:」フィールドに入力します。

      入力が完了したら「作成」ボタンをクリックします。

7. 新しいサーバーが一覧に表示されていることを確認し、サーバーの有効化および起動を行います。

3.2.2 既存のAPSを複製する方法

この方法では既存のAPSインスタンスをコピーし、APSサービスの追加や削除を行います。

複製したサーバーは元のサーバーの設定を保持しているため、既存のサーバーとまったく同じか、ほぼ同じサーバー設定を使用して新しいAPSインスタンスを作成したい場合には便利な方法です。

APSインスタンスを複製する手順は以下のとおりです。

1. セントラル管理コンソールのサーバー一覧から複製元のAPSを選び、[クローンサーバ]メニューを選択します。

2. 新しいAPSの追加先ノードとサーバー名を指定し、「OK」ボタンをクリックします。

3. ホストするサービスを変更する場合は、[サービスの選択]メニューを選択します。

4.  サービスの追加または削除を行い、「OK」ボタンをクリックします。


5. 新しいサーバーが一覧に表示されていることを確認し、サーバーの有効化および起動を行います。

完全に同じ設定内容を含む複数のAPSサーバーを作成する場合は、設定テンプレート機能を利用する方法が効率的です。設定テンプレートを使用すると、テンプレートから作成されたすべてのAPSサーバーに対して設定内容が同期されます。

設定テンプレートの詳細および利用方法については製品マニュアル『Business Intelligence プラットフォーム管理者ガイド』を参照してください。

3.3 BI 4.1 インストール直後に行うべきAPSのデプロイメントとは

3.1 Adaptive Processing Serverの構成に関するSAP Knowledge Base Article」で説明したように、SAP KBA 1694041記載のように各機能別にAPSを細かく分類して構成すると、多くのシステムリソースが必要となります。このため、BI 4.1のインストール直後に手始めとして行うべきAPSのデプロイメントは、より大まかな分類で必要最低限の専用APSのみを構成することです。

どのサービスを専用APSとして分離すべきかについては、個々のお客様の要件により異なります。APSのデプロイメントを計画するにあたり、BIプラットフォーム上で使用するアプリケーションの選定、そのアプリケーションに関連するAPSサービスの確認を行うことが重要です。

また、導入するシステムについて必要なAPSサービスの洗い出しを行なった結果、もし使用しないAPSサービスがあったとしても、それらをBIプラットフォームから削除することは推奨されません。初期段階では使用しないAPSサービスも、後にユーザーニーズが変化したときには使用する可能性があるためです。

すべてのAPSサービスはBIプラットフォーム上でいつでも利用できるようにしておき、使用しないサービスについては停止または無効化しておきます。

この章では手始めとして行うべきAPSのデプロイメントの例と、各APSJava仮想マシンのヒープサイズについて推奨される値を紹介します。なお、ヒープサイズの変更にあたり設定を行うのは -Xmxパラメーター(最大サイズ)のみです。-Xmsパラメーター(初期サイズ)についてはデフォルト値のまま使用します。

3.3.1 デフォルトAPSの複製および自動起動の無効化

いつでもBI 4.1インストール時の初期状態の構成に戻せるよう、インストーラーによって作成されるデフォルトのAPSは変更や削除を行わないようにします。APSの構成を変更する場合は、デフォルトAPSから複製したAPSインスタンスを使用するようにし、デフォルトAPSは停止または無効化しておきます。

デフォルトAPSを複製し、自動機能を無効化する手順は以下のとおりです。

  1. セントラル管理コンソールのサーバー一覧からデフォルトAPSを選択します。

         デフォルトのAPSは「ノード名.AdaptiveProcessingServer」という名称でBI 4.1インストーラーによってBIプラットフォームに作成されています。

  2. デフォルトAPSを複製します。

    「3.2.2既存のAPSを複製する方法」1.2.の手順を参照し、APSを複製します。

     3.3.2以降の手順で専用APSを作成する際には、この複製APSを変更します。

  3. デフォルトAPSを停止します。

      APSサービスを分離した新たなAPSの使用に伴い、余分なシステムリソースの消費を抑えるためにデフォルトAPSは停止しておきます。



  4. デフォルトAPSの自動起動オプションを無効化します。

      デフォルトAPSServer Intelligence AgentSIA)の開始とともに自動的に起動されるよう設定されています。この動作を変更するため、デフォルトAPSのプロパティで「Server Intelligence Agentの起動時にこのサーバを自動的に起動します」オプションを無効化します。




3.3.2 DSLブリッジサービス専用APSの追加

DSLブリッジサービスはSAP BWデータソース参照時に使用するBICS接続、およびリレーショナルデータソース参照時に使用するUNXユニバースのSQL、値の一覧(LOV)生成を処理します。このAPSサービスを最適に機能させるためには十分なサイズのメモリーを割り当てることが重要です。したがって、BICS接続やUNXユニバースを使用する場合はDSLブリッジサービス専用APSの追加を検討します。

なお、このサービスはWeb Intelligenceで使用されるサービスであり、Crystal Reportsでは使用されません。

このAPSに含めるべきAPSサービスと、Java仮想マシンの最大ヒープサイズの推奨値は以下のとおりです。



このAPSに含めるサービス

  1. DSLブリッジサービス
  2. Web Intelligenceモニタリングサービス(デフォルト)
  3. セキュリティトークンサービス
  4. トレースログサービス(デフォルト)

Java仮想マシンの最大ヒープサイズ(-Xmx

利用規模に応じて48GBの範囲で設定


DSLブリッジサービス専用APSの設定に関する詳細は3.4.5 DSLブリッジサービス用APSの設定」で後述します。

3.3.3 検索インデックス専用APSの追加

BIラウンチパッドには、BIプラットフォーム上に保管されているコンテンツをキーワードによりサーチする機能として、「プラットフォーム検索機能」があります。ユーザーにこの機能の使用を許可する場合、最適なレスポンスが得られるよう検索インデックスサービス専用APSの追加を検討します。

このAPSに含めるべきAPSサービスと、Java仮想マシンの最大ヒープサイズの推奨値は以下のとおりです。


このAPSに含めるサービス

  1. プラットフォーム検索サービス
  2. トレースログサービス(デフォルト)

Java仮想マシンの最大ヒープサイズ(-Xmx

プラットフォーム検索機能の利用頻度が高い場合は、システム規模に応じて23GBの範囲で設定



また、プラットフォーム検索機能の最適化を行うためには、APSの分離だけでなくプラットフォーム検索アプリケーションの設定も必要です。詳細は3.4.6プラットフォーム検索アプリケーションの設定」で後述します。

3.3.4 Analysis専用APSの追加

Analysis for OLAPを使用してSAP BWデータなどの多次元データを分析する場合や、BEx Webアプリケーションとの統合が必要な場合には、これらに関連するAPSサービスをホストする専用APSの追加を検討します。

このAPSに含めるべきAPSサービスと、Java仮想マシンの最大ヒープサイズの推奨値は以下のとおりです。


このAPSに含めるサービス

  1. Multi Dimensional Analysis Service
  2. BEx Webアプリケーションサービス
  3. トレースログサービス(デフォルト)

Java仮想マシンの最大ヒープサイズ(-Xmx

Analysis for OLAPおよびBEx Webアプリケーションの利用頻度が高い場合は、システム規模に応じて48GBの範囲で設定



3.3.5 その他サービス用APSの追加

3.3.2から3.3.4で説明したAPSサービス以外のすべてのAPSをホストするAPSを追加します。

このAPSから除外すべきAPSサービスと、Java仮想マシンの最大ヒープサイズの推奨値は以下のとおりです。


このAPSから除外すべきサービス

  1. DSLブリッジサービス
  2. セキュリティトークンサービス
  3. プラットフォーム検索サービス
  4. Multi Dimensional Analysis Service
  5. BEx Webアプリケーションサービス
  6. その他、システムで利用しない機能に関連するサービス

Java仮想マシンの最大ヒープサイズ(-Xmx

利用規模に応じて24GBの範囲で設定



3.4 Adaptive Processing Server設定に関する推奨事項

APSの追加に関する詳細情報や、APSサービスを最適化するための推奨事項について説明します。

3.4.1 一般的な推奨事項

APSに関する一般的な推奨事項はSAP Knowledge Base Article1792286 - 一般的な APS の推奨事項』として公開されています。APSの設定を変更する前に参照してください。

3.4.2 デフォルトAPSの無効化

BI 4.1インストーラーが作成するデフォルトのAPSは変更や削除を行わず、元の状態を維持しておくようにしてください。使用する機能に合わせて独自のAPSを構成する場合は、3.3.1 デフォルトAPSの複製および自動起動の無効化」の手順を参考にしてデフォルトAPSの複製および無効化を行なってください。

3.4.3 不要なAPSサービスの分離

BIプラットフォームは多くの機能を提供していますが、BEx Webアプリケーション統合機能やドキュメントのパブリケーション機能など、使用する環境によっては不要なものや直ちには使用しないものがある場合、それらの機能に関連するAPSサービスを単一のAPSに集約し、APSを停止しておきます。これにより不要なシステムリソースの消費を回避することができます。

3.4.4 APS設定のためのコマンドラインパラメーター

セントラル管理コンソール上でAPSのプロパティとしてコマンドラインパラメーターを記述し、Java仮想によるアプリケーションの実行方法を設定することができます。


APSを複製または新規に作成すると、新しいAPSにコマンドラインパラメーターが自動的に設定されます。

以下はデフォルト設定のコマンドラインパラメーター記述例です。

-server -Dcom.sap.vm.tag=BI41.AdaptiveProcessingServer -Djava.awt.headless=true "-Dbobj.enterprise.home=D:/SAP/BI41/SAP BusinessObjects Enterprise XI 4.0/" "-Dbobj.javaserver.home=D:/SAP/BI41/SAP BusinessObjects Enterprise XI 4.0/java/pjs/container/" "-Dboe.common.dir=D:/SAP/BI41/SAP BusinessObjects Enterprise XI 4.0/java/lib/" "-Dboe.external.dir=D:/SAP/BI41/SAP BusinessObjects Enterprise XI 4.0/java/lib//external" "-Dboe.bundles.dir=D:/SAP/BI41/SAP BusinessObjects Enterprise XI 4.0/java/lib//bundles" "-Djava.io.tmpdir=D:/SAP/BI41/SAP BusinessObjects Enterprise XI 4.0/java/pjs/container/temp" "-Dbusinessobjects.logs.home=D:/SAP/BI41/SAP BusinessObjects Enterprise XI 4.0/logging/" "-XtraceFile=D:/SAP/BI41/SAP BusinessObjects Enterprise XI 4.0/logging/aps_BI41.AdaptiveProcessingServer_jvm.log" "-XX:GCHistoryFilename=D:/SAP/BI41/SAP BusinessObjects Enterprise XI 4.0/logging/aps_BI41.AdaptiveProcessingServer_gc.prf" "-Xloggc:D:/SAP/BI41/SAP BusinessObjects Enterprise XI 4.0/logging/aps_BI41.AdaptiveProcessingServer_gc.log" -XX:+PrintGCTimeStamps -XX:+PrintGCDetails -XX:LogGcMaxFileCount=3 -XX:LogGcMaxFileSize=5m "-XX:ErrorFile=D:/SAP/BI41/SAP BusinessObjects Enterprise XI 4.0/logging/aps_BI41.AdaptiveProcessingServer_dump_@PID.log" -Xms512m -Xmx2g -XX:MaxPermSize=256m -XX:+UseParallelOldGC -XX:+HeapDumpOnOutOfMemoryError "-XX:HeapDumpPath=D:/SAP/BI41/SAP BusinessObjects Enterprise XI 4.0/logging/" -XX:+ExitVMOnOutOfMemoryError -Xrs -Djava.net.preferIPv4Stack=false "-Dbusinessobjects.connectivity.directory=D:/SAP/BI41/SAP BusinessObjects Enterprise XI 4.0//dataAccess/connectionServer" "-Djava.library.path=D:/SAP/BI41/SAP BusinessObjects Enterprise XI 4.0//win64_x64" -Xss1M "-Dbo_cluster.config_dir=D:/SAP/BI41/SAP BusinessObjects Enterprise XI 4.0/win64_x64/config" "-Dcom.businessobjects.datafederator.server.home=D:/SAP/BI41/SAP BusinessObjects Enterprise XI 4.0/java/pjs/services/DataFederatorService/resources" -Djavax.xml.parsers.SAXParserFactory=com.sun.org.apache.xerces.internal.jaxp.SAXParserFactoryImpl -jar "D:/SAP/BI41/SAP BusinessObjects Enterprise XI 4.0/java/pjs/container/bin/boeserver.jar" -workdir "D:/SAP/BI41/SAP BusinessObjects Enterprise XI 4.0/java/pjs/container/work"


新しいAPSを追加する際にはこれらのコマンドラインパラメーターが正しく設定されているかどうかを確認します。特に注意すべきパラメーターを以下にまとめます。

  1. ファイル・パスを指定する以下のパラメーターについて、その設定値がサーバー固有であり、他のサーバーの設定値と重複していないことを確認してください。
    • -XtraceFile
    • -XX:ErrorFile
    • -XX:GCHistoryFilename
    • -Xloggc:
    • -workdir

BI 4.0 SP02 パッチ12より前のバージョンでAPSの複製を行う場合、これらのファイル・パスについて複製元のAPSの設定値を維持したまま複製されるという既知の問題が報告されており、特に注意が必要です。

  2. DSLブリッジサービスをホストするAPSのコマンドラインパラメーターに以下のパラメーターが含まれていることを確認します。

    • -Dbusinessobjects.connectivity.directory

このパラメーターが欠落すると、Web IntelligenceUNXユニバースを選択したときにエラー「The datasource cannot be generated for the specified datasource name<xxx>. (WIS 00000)」が返されます。

  3. デフォルトで設定されるパラメーター「-XX:+ExitVMOnOutOfMemoryError」は、メモリー不足エラーが発生するとAPSを自動的に再起動します。

  4. -XX:+UseParallelOldGC」パラメーターを設定すると、Old領域が不足した場合のFull GCがマルチスレッドで実行され、Full GCの処理速度を向上させることができます。

  5. ヒープサイズ設定に関連するパラメーターは「-Xmx」(最大サイズ)および「-Xms」(初期サイズ)です。通常は設定値の変更は「-Xmx」についてのみ行い、「-Xms」についてはデフォルト値のまま使用します。

以下の表はAPSのコマンドラインパラメーターとして使用可能なJava仮想マシンのパラメーターをまとめたものです。これらはいずれもJava仮想マシンの非標準オプションであり、予告なく変更される可能性があります。


パラメーター

説明

-Xmixed

メソッドをバイトコードインタプリタとネイティブコードコンパイラの混合モードで実行(デフォルト)

-Xint

すべてのコードをインタプリタモードのみで実行

-Xbootclasspath:

ブートストラップクラスおよびリソースの検索パスを設定(ディレクトリおよびzipjarファイルをセミコロンで区切って指定)

-Xbootclasspath/a:

デフォルトのブートストラップクラスの最後に追加するディレクトリディレクトリおよびzipjarファイルをセミコロンで区切って指定

-Xbootclasspath/p:

デフォルトのブートストラップクラスの先頭に追加するディレクトリディレクトリおよびzipjarファイルをセミコロンで区切って指定

-Xnoclassgc

クラス オブジェクトのガベージ コレクションを無効化

-Xincgc

インクリメンタルガーベッジコレクションを有効化

-Xloggc:<file>

指定したファイルにGCステータスを記録

-Xbatch

バックグラウンドコンパイルを無効化

-Xms<size>

ヒープサイズの初期値を指定(通常、APSではデフォルト値を使用)

-Xmx<size>

ヒープサイズの最大値を指定

-Xss<size>

Javaスレッドスタックサイズを指定

-Xprof

CPUのプロファイリングデータを出力

-Xfuture

厳密なクラスファイルのチェックを有効化(将来のJava仮想マシンではデフォルトで有効となる予定)

-Xrs

Java仮想マシンによるオペレーティングシステムシグナルの使用を減らす

-Xcheck:jni

JNI機能に対する追加チェックを実行

-Xshare:off

共有クラスデータを使用しない

-Xshare:auto

可能な場合は共有クラスデータを使用(デフォルト)

-Xshare:on

クラスデータの共有を有効化し、何らかの原因により共有クラスデータを使用できない場合はエラーを出力して終了する



3.4.5 DSLブリッジサービス用APSの設定

3.4.5.1 DSLブリッジサービスの役割

BI 4.xWeb Intelligenceは従来形式のユニバース(UNVユニバース)の使用に加え、新しい形式のユニバース(UNXユニバース)を使用したリレーショナルデータの参照と、BICSを介したBWデータの参照をサポートしています。

DSL ブリッジサービスはUNXユニバース、BICS接続を介したデータ参照における、以下の処理を担います:

  • UNXユニバースを使用したクエリー実行時のSQL生成
  • UNXユニバース、BICS接続による値の一覧(LOV)の取得
  • BICS接続を使用したBWデータの取得



Web Intelligenceを使用したデータ参照を適切なパフォーマンスで行うために、DSL ブリッジサービス専用のAPSインスタンスを1つまたは複数作成し、Java仮想マシンのヒープサイズの調整を検討します。

3.4.5.2 DSLブリッジサービスの分離

たとえば、BICS接続によるSAP BWデータの参照を考えた場合、BICSクライアントはDSLブリッジプロセスを介して大量のデータを処理する必要があります。Web IntelligenceBICS接続やUNXユニバースを集中的に使用する場合はデフォルトのAPSからDSLブリッジサービスを分離することを推奨します。

デフォルトのAPSからDSLブリッジサービスおよび関連するサービスを分離し、DSLブリッジサービス専用APSを作成するには以下の手順でサーバー設定を行います。

  1. セントラル管理コンソールを使用し、デフォルトのAPSを停止します。

3.3.1 デフォルトAPSの複製および自動起動の無効化」1.および3.の手順にしたがってデフォルトのAPSを停止します。

   2. デフォルトのAPSを複製し、DSLブリッジサービス用APSを追加します。

3.2.2  既存のAPSを複製する方法」の手順にしたがって、DSLブリッジサービス用APSの追加とサービスの編集を行います。このAPSには以下のAPSサービスを含めるようにします。

  • DSLブリッジサービス
  • Web Intelligenceモニタリングサービス(デフォルト)
  • セキュリティトークンサービス
  • トレースログサービス(デフォルト)

作成したAPSを有効化し、起動します。

  3. 再びデフォルトのAPSを複製し、その他サービス用APSを追加します。

DSLブリッジサービスおよび関連サービスを除くその他のサービスをホストするAPSを作成します。作成手順は3.2.2        既存のAPSを複製する方法」のとおりです。

このAPSには2.に挙げたサービスを除くすべてのAPSサービスを含めるようにします。

作成したAPSを有効化し、起動します。

  4. デフォルトAPSの自動起動設定を無効化します。

3.3.1デフォルトAPSの複製および自動起動の無効化」4.の手順を参考に、デフォルトAPSの自動起動設定を無効化します。

3.4.5.3 DSLブリッジサービス用APSのヒープサイズ設定

DSLブリッジサービス用APSについての最大ヒープサイズは、少なくとも4GBに設定することが推奨されます。多くのメタデータオブジェクトを使用した複雑なクエリーの実行や、多くのレコード数やセル数を要求する場合は、4GBよりも大きい値に設定することを検討します。


ヒープサイズを変更する手順は以下のとおりです。

  1. セントラル管理コンソールでDSLブリッジサービス用APSのプロパティ画面を開きます。



  2. 「コマンドラインパラメーター」フィールドの記述から「-Xmx」パラメーターを探し、設定値を変更します。


コマンドラインパラメーターの記述は非常に長く見づらいため、コマンドラインパラメーター全体をコピーし、メモ帳などのテキストエディタにペーストして編集するとよいでしょう。

  3. プロパティ画面を閉じ、DSLブリッジサービス用APSを再起動します。



3.4.5.4 Crystal Reports for EnterpriseおよびDashboardsDSLコンポーネント

Web Intelligence以外にCrystal Reports for EnterpriseおよびDashboardsも、UNXユニバースによるリレーショナルソースの参照や、BICS接続を介したSAP BWデータの参照をサポートしています。

しかしながら、これらのツールのアーキテクチャはWeb Intelligenceとは異なっており、APSDSLブリッジサービスを使用しません。たとえば、Crystal Reports for Enterpriseの場合、その処理サーバーであるCrystalReportsProcessingServerJavaで開発されたDSLコンポーネントが組み込まれており、CrystalReportsProcessingServerと同じプロセスでDSLコンポーネントおよび接続サーバーをローカル実行します。

このため、DSLブリッジサービス専用APSの追加やヒープサイズの調整は、Crystal Reports for Enterpriseのパフォーマンス最適化に対して有効な対応策ではありません。Crystal Reports for EnterpriseDSLコンポーネントのヒープサイズは、CrystalReportsProcessingServerのプロパティで「Java子仮想マシンの引数」オプションを使用して調整します。

設定方法などの詳細についてはSAP Knowledge Base Article1697105 - How do I set Java settings such as Xmx for the Crystal Reports Processing Serverを参照してください。



DashboardsについてもCrystal Reports for Enterpriseと同様に、その処理サーバーであるDashboardsProcessingServerDSLコンポーネントおよび接続サーバーが組み込まれています。

このため、DSLコンポーネントのヒープサイズはDashboardsProcessingServerの「Java子仮想マシンの引数」オプションを使用して調整します。

3.4.6 プラットフォーム検索アプリケーションの設定

BI 4.xでは、ユーザーはプラットフォーム検索機能を使用して、BIプラットフォーム上のレポートやユニバースといったコンテンツをキーワード検索により探しだすことができます。3.3.3検索インデックス専用APSの追加」で述べたとおり、プラットフォーム検索機能の使用をユーザーに許可する場合、最適なパフォーマンスが得られるように検索サービス専用APSの追加を検討します。

また、プラットフォーム検索機能を利用可能な状態にするためには、BIプラットフォーム上のコンテンツに関連するメタデータについてインデックスを作成する必要があります。このインデックス作成処理の負荷がBIプラットフォームのパフォーマンスに影響を及ぼす可能性があるため、専用APSの追加だけではなく、検索用インデックス作成処理に関するオプションについても適切な設定値を検討します。

プラットフォーム検索インデックス作成に関する設定を変更する手順は以下のとおりです。

  1. セントラル管理コンソールの[アプリケーション]メニューを選び、「プラットフォーム検索アプリケーション」のプロパティを開きます。

  2.  プラットフォーム検索機能の利用状況、パフォーマンスを考慮し、以下のオプションの設定変更を検討します。




  • ユーザーのシステム利用時間を避けてインデックス作成を行うよう、「クロール頻度」オプションを「スケジュール済みクロール」に設定します。このオプションを選択した場合、インデックス作成は「プラットフォーム検索スケジュールオブジェクト」をスケジュール登録することによって実行されます。
  • ユーザーによるキーワード検索対象に応じて「インデックス処理のレベル」オプションを設定します。

「フルコンテンツ」を指定した場合は、ドキュメントのタイトル、説明、作成ユーザーなどのメタデータに加え、ドキュメント内の実際のコンテンツ(データ、プロンプト、チャート、ラベルなど)にいたるまでインデックス作成の対象とすることができますが、インデックス処理作成の負荷が最も高いオプションです。

ドキュメント内のコンテンツまで検索対象とする必要がない場合は、「プラットフォームメタデータ」または「プラットフォームおよびドキュメントのメタデータ」オプションを選択します。

  • 「コンテンツ」オプションを使用し、検索対象とするコンテンツタイプを設定します。

BIプラットフォーム上に多数のユニバースが存在する環境で、ユニバースを検索インデックス対象に含めた場合、インデックス作成処理のパフォーマンスに著しく遅くなることが報告されています(SAP Knowledge Base Article1704698 - Disable Universe Extraction to avoid slow indexing in BI4.0)。レポートのみをキーワード検索の対象とする場合は、このオプションの「ユニバース」を非選択に設定します。

  • 「エラー復旧」オプションの「インデックスの再構築」をオンに設定します。
  • 「インデックス処理から除外するドキュメント」フィールドを使用し、特定のドキュメントをインデックス処理から除外します。この設定により、サイズが非常に大きい Crystal Reportsレポートを検索対象から外してレポートアプリケーションサーバの過負荷を回避したり、大量のパーソナライズされたレポートのあるパブリケーションのインデックス処理を抑止したりすることができます。

3.4.7 プロモーションマネージメント用APSの設定

プロモーションマネージメントとは、特定のBIコンテンツを選択して開発環境から本番環境へ移行・公開したり、レポートやユニバース等のBIコンテンツのバージョン管理を行ったり、といったコンテンツ管理タスクを指し、BI 4.1ではセントラル管理コンソールの「プロモーションマネージメント」メニューから操作します。

BIプラットフォームを開発、テスト、本番といった複数のランドスケープにより構成し、コンテンツのプロモーションを集中的に行う場合は、プロモーションマネージメントに関連するサービスをホストする専用APSの追加を検討します。

プロモーションマネージメント用APSには以下のAPSサービスを含めるようにします。

  • プロモーションマネージメントClearCaseサービス
  • プロモーションマネジメントサービス
  • Visual Differenceサービス
  • トレースログサービス(デフォルト)

また、SCN掲載のホワイトペーパー『SAP BusinessObjects BI4 Sizing Guideでは、中規模以上のシステムではプロモーションマネージメント用APSの最大ヒープサイズを少なくとも750MB以上に設定することが推奨されています。

なお、BI 4.1 SP03よりも古いバージョンにおけるプロモーションマネージメント(BI 4.0では「ライフサイクルマネージメント」と呼称)を使用する場合、プロモーションマネージメント用APSの構成やプロモーションマネージメントの設定に関して公開されている既知の問題を参照してください。

特に、プロモーションマネージメント関連サービスをホストするAPSのインスタンスは1つのシステムに1つのみでなければならない、という点について注意してください。


BI 4.1 SP03ではプロモーションマネージメントのアーキテクチャが改良されたため、これらのSAP Knowledge Base Articleで説明されている問題はBI 4.1 SP03以降のバージョンには影響しません。

3.4.8 パブリケーション用APSの設定

パブリケーションとはWeb IntelligenceおよびCrystal Reportsで作成したレポートを多数のユーザーへ配信する機能です。複数のパブリケーションを同時実行する計画がある場合は、パブリケーションに関連するAPSサービスをホストする専用APSの追加を検討します。

パブリケーション用APSには以下のAPSサービスを含めるようにします。

  • 公開サービス
  • パブリッシングポスト処理サービス
  • トレースログサービス(デフォルト)

また、パブリケーションのパフォーマンスに問題がある場合は、以下のガイドラインにしたがってAPSインスタンスの追加や設定を行います。

  • 1つのAPSインスタンスにつき同時実行パブリケーションは3つまでを目安とし、同時実行パブリケーションの数がこれを超える場合はパブリケーション用APSインスタンスを増やします。
  • パブリケーション用APSの最大ヒープサイズを少なくとも1GBに設定します。これはAPSプロパティのコマンドラインパラメーターで「-Xmx」パラメーターを使用して行います。
  • 公開サービスおよびパブリッシングポスト処理サービスをAPSの別のインスタンスで実行します。

なお、BI 4.0においてパブリケーション実行時に「java.lang.OutOfMemoryError: unable to create new native thread」というエラーが発生する場合は、SAP Knowledge Base Article#1792285を参照してAPSの設定変更を検討します。

3.4.9 ビジュアライゼーション用APSの設定

BI 4ではデータの視認性や表現力を強化するために、新たなグラフ作成エンジン「Common Visualization Object Model」(CVOM)を採用しており、グラフの作成はビジュアライゼーションサービスによって処理されます。

Java仮想マシンのヒープ領域の不足やAPSのクラッシュが発生するとチャート描画が行えなくなるため、グラフを多用したWeb Intelligenceドキュメントの実行が想定される場合は、ビジュアライゼーションサービス専用APSの追加とヒープサイズの調整を検討します。

ビジュアライゼーション用APSに含めるAPSサービスは以下のとおりです。

  • ビジュアライゼーションサービス
  • トレースログサービス(デフォルト)

また、SCN掲載のホワイトペーパー『SAP BusinessObjects BI4 Sizing Guideでは、このサービスの最大ヒープサイズは2GBに設定することが推奨されています。

3.4.10 その他サービス用APSの設定

以下の機能を使用する場合は、関連するそれぞれのサービス専用のAPSの追加を必要に応じて行います。

  • クライアントツールの使用に関する監査ログ収集

BIラウンチパッド、セントラル管理コンソール、Web Intelligenceリッチクライアントといったクライアントツールの使用状況に関する監査を実行する場合、監査ログ収集が適切に行われるようClient Auditing Proxyサービス専用APSの作成を検討します。

  • マルチソースユニバースの使用、Javaベースのミドルェアによるデータ参照

マルチソースユニバースを使用する場合はデータフェデレーションサービスの分離を、Javaベースのミドルェアを介したデータ参照を行う場合はAdaptive Connectivity サービスの分離をそれぞれ検討します。これらはWeb IntelligenceだけでなくCrystal ReportsDashboardsなどのBIツール利用にも関連しているため、これらのAPSサービスをWeb Intelligence固有のAPSサービスから分離し、Web Intelligence関連サービスの停止がCrystal ReportsDashboardsの使用に影響しないようにします。

  • SAP BWへのシングルサインオンの実装

セキュリティトークンサービス専用APSを追加することにより、SAP BWへのシングルサイオンの実装に伴う設定変更やサービスの起動・停止が、他のAPSサービスに影響しないようにします。

3.5 Adaptive Processing Serverデプロイメントの例

BI 4.1のデプロイメントを決定する前に、ユーザーのニーズや要件にあわせて使用する/しない機能の分析を事前に行うことが重要です。たとえば、使用するレポーティングツールやデータソースへの接続方式の選択、マルチソースユニバースの要否、パブリケーションや監査ログ収集、プロモーションマネージメントといった機能の利用有無を考慮し、分離して構成すべきAPSサービスおよび停止可能なAPSサービスを判断します。

特定のAPSサービスについて独立したAPSを構築するためには、BIプラットフォーム用のシステムリソースを十分に見込んでおかなければなりません。たとえば、システムで利用可能なメモリーが多いほど、APSインスタンスの追加やJavaヒープサイズの調整について高い柔軟性が得られることは明らかです。

一般的なガイドラインとしてBI プラットフォームをホストする各ノードには32GB以上のRAMを準備すべきですが、上述のとおり使用する機能に依存してAPSの構成が変わるため、実際に必要となるRAMは個々のシステムによって異なります。また、利用可能なRAMのすべてがAPSのみによって消費されることのないよう、APS以外のサーバープロセスに割り当てるべきメモリー量も十分に考慮します。

準備すべきRAMおよびCPUの詳細はSAP BusinessObjects BI4 Sizing Guideに基づくサイジングを実施して試算します。

APSのデプロイメントは以下の4つのステップにしたがって進めます。

1ステップ:使用するレポーティングツールや機能を決めます。

2ステップ:作成すべきAPSを決め、最大ヒープサイズを見積もります。

3ステップ:必要なAPSを作成します。

4ステップ:システムのサイジングおよび微調整を行います。

3.5.1 デプロイメント例1

下表はBIプラットフォームのすべての機能を利用することを前提としたAPSデプロイメント例を示したものです。これは機能別に関連するAPSサービスを分類した例になっており、構成すべきAPSを洗い出す際の参考情報として活用することができます。

なお、これらのすべてのAPSは必ずしも同一マシン上で実行しなければならないわけではありません。いくつかのAPSを複数のマシンに分散させて実行することも可能です。



APSサーバー名(任意の名前に変更可能)

最大ヒープサイズ

含まれるサービス

AdaptiveProcessingServerDSLBridge

※このAPSWeb Intelligenceを使用するデプロイメントでは必須です

-Xmx8g

DSLブリッジサービス

Web Intelligenceモニタリングサービス

セキュリティトークンサービス

トレースログサービス

AdaptiveProcessingServerPUBLISHING

-Xmx4g

パブリッシングポスト処理サービス

公開サービス

トレースログサービス

AdaptiveProcessingServerWEBI

-Xmx4g

Rebeanサービス

Web Intelligenceモニタリングサービス

ドキュメントリカバリサービス

カスタムデータアクセスサービス

Excelデータアクセスサービス

トレースログサービス

AdaptiveProcessingServerCHARTS

-Xmx2g

ビジュアライゼーションサービス

トレースログサービス

AdaptiveProcessingServerANALYSIS

-Xmx8g

Multi Dimensional Analysis Service

BEx Webアプリケーションサービス

トレースログサービス

AdaptiveProcessingServerDF

-Xmx3g

データフェデレーションサービス

トレースログサービス

AdaptiveProcessingServerMONITORING

-Xmx1g

モニタリングサービス

トレースログサービス

AdaptiveProcessingServerCAPS

-Xmx512m

Client Auditing Proxyサービス

トレースログサービス

AdaptiveProcessingServerCONNECTIVITY

-Xmx1g

Adaptive Connectivityサービス

トレースログサービス

AdaptiveProcessingServerOTHER

-Xmx1g

セキュリティトークンサービス

翻訳サービス

Insight to Actionサービス

トレースログサービス

AdaptiveProcessingServerSEARCH

-Xmx3g

プラットフォーム検索サービス

トレースログサービス

AdaptiveProcessingServerLCM

-Xmx2g

プロモーションマネジメントサービス

プロモーションマネジメントClearCaseサービス

Visual Differenceサービス

トレースログサービス


3.5.2 デプロイメント例2

下表はBICS接続によるSAP BW参照を含むWeb Intelligence、およびAnalysis for OLAPの使用を想定したデプロイメント例を示したものです。このシステムではUNXユニバースによるリレーショナルソースの使用は限定的で、監査ログ収集はあまり重視していません。このシステムにおいて重要性の低いこれらのサービスはAdaptiveProcessingServerOTHERにまとめられています。


APSサーバー名(任意の名前に変更可能)

最大ヒープサイズ

含まれるサービス

AdaptiveProcessingServerDSLBridge

※このAPSWeb Intelligenceを使用するデプロイメントでは必須です

-Xmx8g

DSLブリッジサービス

Web Intelligenceモニタリングサービス

セキュリティトークンサービス

トレースログサービス

AdaptiveProcessingServerPUBLISHING

-Xmx4g

パブリッシングポスト処理サービス

公開サービス

トレースログサービス

AdaptiveProcessingServerWEBI

-Xmx4g

ビジュアライゼーションサービス

Rebeanサービス

Web Intelligenceモニタリングサービス

ドキュメントリカバリサービス

トレースログサービス

AdaptiveProcessingServerANALYSIS

-Xmx8g

Multi Dimensional Analysis Service

BEx Webアプリケーションサービス

トレースログサービス

AdaptiveProcessingServerOTHER

-Xmx4g

Adaptive Connectivityサービス

カスタムデータアクセスサービス

Excelデータアクセスサービス

Client Auditing Proxyサービス

モニタリングサービス

セキュリティトークンサービス

翻訳サービス

Insight to Actionサービス

データフェデレーションサービス

トレースログサービス

AdaptiveProcessingServerSEARCH

-Xmx3g

プラットフォーム検索サービス

トレースログサービス

AdaptiveProcessingServerLCM

-Xmx2g

プロモーションマネジメントサービス

プロモーションマネジメントClearCaseサービス

Visual Differenceサービス

トレースログサービス

4 BI 4.1パフォーマンスチューニングに関するヒント

4.1 ヒープダンプ生成によるAPSメモリー消費の分析

ヒープダンプとは、ある特定の時刻にJava仮想マシンのヒープメモリ内に存在したオブジェクト一覧のスナップショットです。ヒープダンプを取得することは、パフォーマンスチューニングに先立ってシステムリソースの利用状況を把握するための有効な方法の1つです。また、BI プラットフォーム上で発生するエラーやパフォーマンス低下などの問題を解析するために、SAPのサポートエンジニアがヒープダンプの取得や解析を指示することもあります。

なお、ヒープダンプはメモリー消費状況を解析するために有用ですが、ファイルサイズが非常に大きいため、必要時のみ取得することや不要となったファイルを削除するなどの注意が必要です。

4.1.1 ヒープダンプの生成

ヒープダンプを生成する方法には以下の2つがあります。

1. コマンドラインパラメーター「-XX:+HeapDumpOnOutOfMemoryError」による自動生成

-XX:+HeapDumpOnOutOfMemoryError」は、JavaプロセスでOutOfMemoryエラーが発生すると自動的にヒープダンプを生成するパラメーターです。ヒープダンプファイルは「-XX:HeapDumpPath」パラメーターで指定されたパスに「java_pid[pid].hprof」というファイル名で作成されます。

たとえば、あるAPSのプロセスIDが「3736」の場合は「java_pid3736.hprof」というファイル名でヒープダンプが生成されます。

サーバーのプロセスIDはセントラル管理コンソールの[サーバ]メニューでサーバー一覧を表示することにより確認できます。





APSのコマンドラインパラメーターにはパラメーター「-XX:+HeapDumpOnOutOfMemoryError」および「-XX:HeapDumpPath」がデフォルトで設定されています。また、「-XX:HeapDumpPath」のデフォルト値はBI 4.1インストールディレクトリ下の「SAP BusinessObjects Enterprise XI 4.0\logging」ディレクトリです。

  2.  ツールを使用した手動生成

OutOfMemoryエラーの発生を待たずに、特定のプロセスのヒープダンプを生成したい場合は、BI 4.1インストールフォルダ下の「SAP BusinessObjects Enterprise XI 4.0\win64_x64\sapjvm\bin」フォルダにあるJMapJConsoleJVMMonなどのツールを利用します。

たとえば、JMapを使用する場合は、OSコマンドラインで以下のように実行します。

cd [installrootdir]\SAP BusinessObjects Enterprise XI 4.0\win64_x64\sapjvm\bin

jmap –dump:file=[filename] [pid]


[installrootdir]BI 4.1のインストールディレクトリ、[filename]はヒープダンプのファイル名、[pid]はダンプ生成の対象となるプロセスのIDです。

また、JVMMonについてはjvmmon-gui.exeを実行することによってGUIを起動し、ヒープダンプ生成の他にJava仮想マシンの一覧、それぞれのシステムリソース使用状況の確認を行うことができます。詳細はSAP Knowledge Base Article2065346 - How to manually generate a Heapdumpを参照してください。


4.1.2 ヒープダンプの解析

ヒープダンプの解析は専用のツールを使用して行います。

様々な解析ツールが存在しますが、SAP Knowledge Base Article1632765 - *.hprof ヒープダンプを分析する方法」ではMemory Analyzerを使用した解析方法を紹介しています。

さらに、SAP Knowledge Base Article1883568 - How to self analyze a Heap Dump using MATSCN記事「Finding Memory Leaks with SAP Memory Analyzerでは、Memory Analyzerの使用方法や結果レポートの見方も紹介しています。

4.2 不要なサーバーの停止

BI 4.1インストーラーは、BIプラットフォームのすべてのサーバーについて自動起動オプションを有効化します。BIプラットフォームで使用しない機能がある場合、その機能に関連するサーバーを停止することにより、システムリソースを節約することができます。たとえば、Crystal Reportsを使用しないシステムではCrystal Reports関連サーバーを停止し、CPUやメモリーの消費を抑えることができます。

以下は、Web IntelligenceBICS接続を使用したSAP BWデータの参照を行う場合に必要となるサーバーの一覧です。

  • Central Management Server
  • Input File Repository Server
  • Output File Repository Server
  • Web Intelligence Processing Server
  • 以下のサービスを含む1つまたは複数のAdaptive Processing Server
    • ビジュアライゼーションサービス
    • DSLブリッジサービス
    • データフェデレーションサービス(マルチソースユニバースを使用する場合)
    • Multi Dimensional Analysis Service

4.3 Web Intelligence関連サーバーのマルチインスタンス化

Web Intelligenceの処理を行うWeb Intelligence Processing Serverと、UNXユニバースおよびBICS接続の処理を行うDSLブリッジサービスを含むAdaptive Processing Serverは、いずれも1システム内に複数インスタンスを設けることができます。

Web Intelligenceのパフォーマンス最適化を行う際にこれらのサーバーのインスタンスを増やすべきかどうかは、レポート処理またはクエリー処理のどちらのワークロードがより大きいかを基準に判断します。


  • レポート編集、分析のためのナビゲーションなど、レポートアクションがワークロードの大半を占める場合は、Web Intelligence Processing Serverの追加を検討します。たとえば、1つのDSLブリッジサービス用APSに対して2つのWeb Intelligence Processing Serverを構成します。
  • クエリー実行やLOV(値一覧)更新などのデータ更新処理がワークロードの大半を占める場合は、DSLブリッジサービス用APSの追加を検討します。たとえば、1つのWeb Intelligence Processing Serverに対して2つのDSLブリッジサービス用APSを構成します。

また、一般的なガイドラインとして、多くのユーザーがBICS接続を使用したWeb Intelligenceドキュメントを使用している場合はDSLブリッジサービス用APSを複数インスタンス化することが推奨されます。これは、クエリー実行による負荷を複数のDSLブリッジサービス用APSで適切に分散し、GCの発生頻度を抑えることで安定したレスポンスを得るためです。

さらに、Web Intelligenceレポートの並列処理において、DSLブリッジサービスがCPU時間を永続的に占有する場合や、そのプロセスのメモリープール消費が最大ヒープサイズ(-Xmx)に近づくことが繰り返される場合、または非クラスタ構成のデプロイメントにおいてフェールオーバートレランスが必要な場合には、DSLブリッジサービス用APSを追加することが推奨されます。

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